2011-03-06
うらの畑でサンタが飛ぶ

クリスマスのあとから、

サンタについて南の島にバカンスにいっていました。

南の島では、サンタは

「ソリで空を飛ぶときに似ているんだよ。練習だよ。練習。」

「飛び立ちのところで、こう波をつかむように風をつかめば。。」

などといって、サーフィンにのめりこみ、

私は私で、びゅんびゅん海を駆け巡るサンタを見ながら、

浜辺でのんびり遊んでいたつもりが、いつのまにか5mにもなる砂のお城を築き上げており、

海辺の巻き貝を集め、貝の螺旋に倣って、

美しき幾何学模様の装飾をほどこしたのでした。

その荘厳なる城の麗しきに、そのうち、大きなウミガメがやってきて、

一匹、二匹と、上に重なっていき、

お城は丸々とした屋根づくりの建物のようになりました。

どこかでみたことがあるなぁ。と思っていたら、

サーフィンから戻ってきたサンタが言いました。

「なんと。イスタンブールまで泳いできてしまったか。」



「ふふふ。違いますよ。」

と、私は笑いましたが、サンタは少し考えるしぐさで、

「なるほど、年末は空も飛行機で混雑するし、

あえて海路をいくのもいいかもしれないなぁ。あとはプレゼントの防水対策が。。」

などと、ぶつぶつ言っていたものでした。

ところで、ウミガメは、しばらくお城の屋根となって日向ぼっこしたあと、

海に帰るのかと思いきや、浜辺のある場所でじっと立ち止まりました。

どうしたのかしらと、私たちが近寄ると、まるで

「ここほれワンワン。」

と言っているようだったので、そこを掘ってみますと、

松の木でできた四角い箱が出てきたのでした。

それをみて、ウミガメはゆっくりとうなずきました。

私たちは「ありがとう」といって、大切に持ち帰りました。


私たちにとっては、それは2日程度のバカンスのつもりだったのですが、

そのような日々を過ごして、家に戻ってきてみると、

2ヶ月も時間が経っておりました。

よって、このブログも2ヶ月も更新が滞ってしまいました。

不思議なものです。

残念なのは、お庭の木々やお花たちの手入れができず、すっかり弱り枯れてしまったことです。

落ち込む私に、

「まぁまぁ。すべての生命はは移り変わるものだから。

気を取り直して。カメさんがくれた箱をあけてみようじゃないか。」

とサンタが励ますので、その箱をあけてみましたら。。

なんと。




中はからっぽでした。

そういえば、

ドライアイスでも入っていたのか、

かすかに白い霧か煙のようなものが漏れていたので、

氷の彫刻みたいなものがはいっていて、

帰ってくる途中に溶けてしまったのかもしれません。

またも、私はすこしがっかりしたのでした。

けれど、いつでも前向きなサンタは言います。

「だいじょうぶ。全部うまくいってるから。」


その晩、私は不思議な夢をみました。

森の木々が、空から舞い降りる白い霧を浴びて、

どんどん年老いて枯れていってしまうのです。

夢のなかで悲しむ私の前に、

あのウミガメがくれた箱を持った、坊主頭の青年が現われて言います。

「この箱が言っています。」

「わたしは灰になりたい。」





目覚めた私は、ほんとにいいのかしら。。とためらいながら、

松でできた箱を割って薪にして、パチパチとお庭で燃やしました。

箱がすっかり焼けて灰になった頃、

「じゃ。いってきまーす!」とソリに乗ったサンタがトナカイと空に勢いよく飛び立ちました。

その勢いで強い風が起こりました。

灰が空に舞い上がり、私は目をふさぎました。

「まったく、いつまでも子供みたいなんだから。」

風がおさまり、目をあけてみると、

なんと不思議。

舞い上がった灰が降り注ぎ、

枯れていた木々や苗に花を咲かているのです。

私は自分の表情(かお)がぱっと明るくなるのを感じました。

サンタの方に目をやると、

サンタは遠くからにっこり笑い、こちらに向かってピースしていました。



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