2010-10-30
両親へのプレゼント

(2007年のお話です。)


今年、お父さんとお母さんが結婚30周年を迎えるという話を聞きつけた私は、

サプライズ企画に乗り出した。


こういうことは一人でやるより、と、

広島にいる兄弟に電話。

二人ともすぐに話にのってくれ、私は東京から、

鹿児島にいるふたりへ遠隔プレゼント操作が始まった。

鹿児島にある実家は、弟が高校生だったとき、

弟の友達のたまり場になっていて、

なぜか弟が広島の大学に行っていなくなったあとも

お父さんとお母さんだけになったうちに時々弟の友達が遊びにくる、

という不思議なことになっていた。

それを利用して、弟からお父さんに、友達が夜行くらしいから、と話しておき、

私は私でお母さんに、保管しててもらいたい荷物を午前着で送ったのでよろしく、と連絡。

これでふたりが一日出かけてしまわないよう、下準備はOK。



そして当日の朝、

まず、二人のもとにはお花が届く。

オレンジと黄色のバラ。

いつも笑っているふたりにはこの色が似合う。

お花にはメッセージがついていて、

「今晩19時、ちょっとオシャレしてここへ行ってください。」

と、いまやふたりでは絶対行かないような海の見えるフレンチレストランへ招待。



シャンパンとワインとコースを堪能してもらったところで、

最後にレストランのかたに

「結婚30周年おめでとう」と書かれたケーキと一緒に、

前もってみんなで送っておいた手紙を渡してもらった。




私たちはその場にいれなかったけど、

それはそれは、涙がとまらず大変だったらしい。

その日は「お父さんが泣き寝入りしたのでまた電話します」ということで、

次の日電話があってお父さんと話すと、

「お支払いはいただいています」って言われた時点で、

「みんな大きくなったんだなぁ」と思って涙がとまらなくなって、

「ちょっとスミマセン」って一旦お店の外に出て、

涙をふいて戻ったり大変だったんじゃけん。

で、家について落ち着いたと思ったら、お母さんが手紙を読み上げだして、

もうやめてくれ。って布団かぶって耳ふさいどった。

・・・って話しよったらまた泣きそうなけん、お母さんに代わります。

と、お母さんに交代。



「もー、年とったらすぐ泣くんじゃけん」

と、からかって楽しそうに笑うお母さんの姿と、

泣いているお父さんの姿が目に浮かんで、

なんだか私まで泣けてきて、

あぁ、私は本当にこの二人の子供として生まれてこれて幸せだなぁ。と思った。




贈った手紙のなかでも、私はふたりへの感謝と愛情をまるまま素直に書いた。

これでいつ死んでもいい。くらい、素直に書いた。



「二人がうっかり結婚してくれたおかげで、

私はとても潤った環境で育ててもらうことができました。

お母さんの明るさから、お父さんの優しさから、私は、

生きていくうえで、いったい何を大切にすべきかということを学びました。

30年の月日のなかにはたくさんの苦労もあったでしょう。

そんななかでも、一番根底の部分で愛を見失わない素晴らしい二人で在り続けてくれてありがとう。」

みたいなこと。




二人が喜んでくれたのももちろんだけど、

今回、思いがけずよかったのが、

普段あまり話さない兄弟と連絡をとりあってると、なんとなく仲良くなって感じれたこと。

男の人は恥ずかしがってやりたがらないんじゃ。。と思ってたけど、

全然そんなことなく協力的だったのも嬉しかったし、

お兄ちゃんの奥さんも一緒に手紙を書いたり協力してくれたのも嬉しかった。



ちなみに、レストランの人も、

「手紙がまだ届かないんです!」って電話をくれたり、

一緒にサプライズを楽しんでくれている感じがしてよかった。

あえてひとつ、起きた困りごとを挙げるなら、

弟の友達がくるということで、二人は夕食のおかずをたくさん買っていて、

当分食べ切れず冷蔵庫がいっぱいになってしまっていたらしいこと。



ここはもうちょっと違う理由でもよかったかな。。(笑)



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