梅雨の湿った重たい風を受けて 花が揺れている
昨晩の雨でたまった雫を両手いっぱいにためて
まだ閉じている蕾のなかには孤独な太陽が生きている
静謐な孤独のなかで 光は洗練される
じっとじっと 「まだだよ」 と
「ちょっとずつ ちょっとずつね」 と
正直いうと 少し疲れているんだ
繊細に広げた葉は 風のなかの精密な情報まですべてキャッチして
それらの波動が届くたび わたしは全身 右へ左へと揺さぶられ
こんなことならいっそ葉などないほうがよかったなんて思ったり
自分はいったいどうして どこに立っていたのか 見失いそうになる
そして勢いよく吹いた冷たい風を正面に受けて
ポタンっと 雫を落とすとき
それを自分のあたらしい色のように
受け入れてくれる大地がそばにいることに気づくんだ
たった1人で立っていたつもりの足下が
全てのほかのいきものと つながっていたこと____
地球よ
わたしは そんなことも気づかないほど 空ばかりを見て生きてきた
波打つ感情をためるには小さな器を抱え
それでも この揺れも痛みも拒まずに受け止めて
わたしはわたしとして
愛して生きたいから
どんなに雫があなたにこぼれようとそばで見ていてほしい
これでもね
一生懸命 生きてるんだ
そう これだけは言える
一生懸命 生きている
地球よ
あなたなら言ってくれると知っている
こういういまや わたしや 果てない曇り空 悲しみの雨も含めて
それでも世界は美しいと
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